全日本実業団富士ヒルクライムロードレース レポート Part1
結果:優勝 47分55秒 BR-1昇格(信じられませんが日本の自転車ロードレースの最高峰クラスに上がってしまいました)
二人目の子供誕生まであと少し
妻の体の状態は一人目の出産時よりも辛いようで、子供から腸の風邪をもらったこともあり、さらに辛い時期があった。定年を迎えた義理のお父さんが助けてくれ、日中は何とかなるが、その好意に甘えてばかりいられない。夜間や自分の休日は、自分が家事や育児をがんばる。そんな中でも妻や両親は、自分に夢を追わせてくれた。できる限り自転車での通勤をさせてくれたり、早朝練習や子供が昼寝をしている間のわずかの時間を見つけては「練習しておいで」と言ってくれた。
今年の目標であった実業団BR-2での優勝!!。自転車歴4年半前の自分が口にする目標ではないが、膝関節脱臼(事故により)という出来事があるまで、走り込んだ持久力が役に立ち、山岳TTでそれなりの結果がでていたため目標とさせてもらった。伊吹山で失敗・東日本実業団でメカトラブル・しらびそ高原であと一歩の4位、4月から毎月遠征させてもらった。こんな時期にレースにでられるのも家族の理解と両親の協力があってのことで本当に自分は恵まれていた。しかし、出産とその後の育児を控え、これ以上夢を追い、レースを続けることは父親としての責任感の無さを感じ、自分自身も今年度公式戦最後の戦いとして富士ヒルクライムを挑戦した。このレースでだめなら今年はあきらめる、そう決めて短い時間でも最大の負荷を自分にかけ続ける。そんな練習を続けレース当日を迎えた。
ほんとは家族で一緒に行きトーマスランドで遊んでくるなどの予定が立っていたが、もちろん妻の体調不良でその予定はキャンセルに・・・。一人での現地入り。
当日は曇りで、昨日までふっていた雨はあがり、集中力を保ったまま走れそう。
ローラーで20分汗を流し、出走サイン、BR-2の先頭を陣取る。いつもはメンバー表を見るのだが、今日のレースはあまりメンバー表は気にならなかった。作戦は去年と同じ、前半は足を温存し、激坂区間でしっかり踏んでいく。人の動きにあまり惑わされない。イーブンペースでアベレージが高ければいい結果になることを信じてスタートを切る。
8時30分、BR-2スタート
一分後にBR-3がスタートするため、その方たちに抜かれたくはない。
いつもながらにスタート直後のスピードは速い。試走よりも時速で3kmほど速いペースだが、前に少々いてくれた方が走りやすい為、10人程度先に行かせて、自分のペースを作る。
2km地点
まだ勾配は8%程度だが、徐々に前の選手が落ちていく。
自分は足を温存しながら、前の方に上がっていく。
自然と選手が落ちていく、自分は上がっていく。
必然的に前の選手2名しかいなくなった。後ろには棒状に連なっているようだったが、あまり気にならない。
3km地点
前の二人も捕らえてしまい、先頭にでてしまう。
自分のペースを維持させたいので、集団での走行ではなく、単独でも前を走ることを選択した。後ろからは10名ほどがついてきているようだ。まだ苦しくない。足も残っている。
4km地点
調子も悪くなさそうなので、少しだけペースをあげる。
後ろとの差が開いた。激坂区間前にして完全なる単独走行だ。すでに後ろは見えなくなってしまった。バイクの先導が自分の横を走る。去年もこれと同じ光景があった。しかし、去年と明らかに違うことがあり、去年はBR-2の選手が近くを走っていたため、目標がありペーサーとしての選手がいたこと。今回、前には誰もいない。バイクが横を走っているのみで本当の自分との戦いが始まった。
5km過ぎ
激坂区間が始まった。最大勾配20%、それが長々と続く。去年は蛇行しなくては登れなかった。足はまだまだ残っている。しかし、この激坂、足を残しながら走れるほど甘くはない。「遂に来た!!」と心でつぶやき、踏み出す。いい感じで登れている。去年ほど辛くはない。後ろからは誰も来ない。なにも聞こえない。バイク先導の方がストップヲッチを押して止まった。しばらくすると帰ってきて「2位集団と45秒」と教えてくれる。
すでに45秒!!このままがんばる勇気がわいてくる。
しかし、激坂はどんどん自分の体力を奪ってくる。前を見ると遠くの先にカーブがあり、そこまで、きつい勾配が続く。辛くなるので前を見ることをやめた。危なくない程度に路面を見る。
6km過ぎ
この辺からがもっとも体には堪える。もう全身を使って踏み込まないと進まなくなってきている。やっぱり辛い・・・・。辛いとは分かっていたが、気持ちは極限に達しそう。激坂はいったん緩んで、再び現れる。インターバルのように何度もくるからさらに足にくる。
自分は練習では心拍数の管理で追い込んでいるため、心拍をダイレクトに計っているが、レースでは、緊張状態などで練習とは違った状態になるため、あまり心拍状態で自分を制御しないように心拍計はつけないが、おそらく最大心拍の90%以上を示し続けていたと思う。
7km過ぎ
バイク先導の方より「2位集団より35秒」と告げられる。
詰まってきている・・・・。2位集団と言うことは何名かで追ってきているのか??
自分は一人、後ろは小集団、明らかに不利・・・。
激坂は終わりなく続いている。とにかく前に進むしかない。後ろを振り返ったが見えない。
1km進むのにこんなに長いのかと思うくらい時間がかかる。時速で10kmを切っているときもあるのだ・・・・。蛇行はしたくないが、体が自然とよれる場面もでてくる。
8km過ぎ
「2位集団と25秒」
さらに詰まっている。おそらく後ろではお互いを引き合いながら自分を追ってきているのだろう。あとでこの後続の方たちに言われたのだが、2位集団からしたら、自分は確実に落ちてくると思っていたとのこと、しかしなかなかつまらないので焦っていたようだ。自分も焦っていたが、後ろも焦っていたようだ。
詰まってきているが、これ以上上げられない・・・。あと少しだからもうちょっとがんばれ!!と自分に檄を飛ばし走り続ける。
少し勾配が緩い区間も増えてきた。この区間での走りが勝負を分ける。とにかくスピードを上げなくては!!気持ちとは裏腹に力がなくなっていく。後ろとの差が気になる。
9km過ぎ
バイク先導が後ろに下がり2位集団との差を教えてくれるまでのバイクのエンジン音を聞く。明らかに後ろは迫っている。「2位集団と20秒」。このままでは捕まる・・・・。
一瞬、追いつかれても、後ろが少なくなっていれば自分も3位以内に入れるかも・・・。
なんて弱気なことも考えたが、活を入れ直して最後の力を入れる。
10km過ぎ
「2位と20秒」詰まっていない。ラスト1kmの表示が見える。勾配が緩くなる。
ギアを上げ踏み倒した。観客の方たちも、コース上で応援してくれる。
「はやーーい」「44分だよ!!」なんて言ってくれる観客の方もいた。
すごく力になった。後ろには追ってくる姿は見えない。
残り500m
去年この地点から、神秘的な力が出て、ものすごくスピードが出たことを思い出した。
あの時は優勝を確信して、興奮状態がアドレナリン放出と共に力を出した。
今回も、不思議なことに、力残ってるじゃんと思わせるようなスピードが出てしまった。
残り100m
後ろはいない。最後に激坂が残っていたが、勝てることを確信した。とにかく早くゴールへ!!!右カーブを曲がったら、ゴールラインが見えた。会場のアナウンスが聞こえる「先頭の選手が入ってきました。先頭の選手はゼッケンナンバー240番 リベルタスTBCの河合玄太選手です」。
拳を握りしめて、歓喜をあげる。ゴールラインをこの日一番にくぐった。
TIMEは47分55秒。去年より30秒近く速かった。
ゴール後は自転車にもたれかかり、息切れがうれし泣きのような状態になった。
追いつかれるかと思ったが勝てた。ずーーーと夢に見続けたBR-2での優勝。
信じられなかった。
すぐ妻に電話を入れた。富士山は5合目でも携帯が使える。ありがたい。
妻は前日から、結果が気になってまともに寝られなかったようで、とっても喜んでくれた。子供も飛び跳ねて喜んでくれているようだ。妻の喜びが伝わったらしい。
この勝利は、家族の力無くして叶わなかったと思う。
激坂区間では、妻が出産を控えて体調が悪くなり、辛そうな状態を思い出した。夜中起きて背中の痛みを治療したこともあった。あの時の妻の辛そうな状態やこれから起こる出産の痛みを思ったらこんな辛さは辛いに値しない。そう考えて踏み続けた。そう考えると、疲れが一時的に無くなった。気持ちも保てた。子供の笑顔を思い出したら疲れが緩んだ。
自分は映画をよく見るが「シンデレラマン」「オールドルーキー」の家族が喜ぶ感動的なシーンが大好きだ。自分もあんな感じを味わえたらと思って自転車をがんばっている。
今回は自分も似たようなシーンを味わえた。
夢に見たシーンが味わえた。
こんなに幸せで良いのだろうか?
このレースの良いところは最後山頂でBR-1のゴールシーンを観戦できること。
ものすごいかっこいい!!
去年誓った。この大勢の観客の前で、ゴールしたいと。
今年それは叶わなかったが、来年どれだけ人の目に焼き付くようにゴールできるか?
今からのがんばり次第だと思った。プロ以外の選手が自分より良いタイムでゴールに入ってくる。プロも含めて自分より30人も速い。日本一のタイムを出した狩野選手は42分台・・・・。42分は無理でも、もっと早くなりたい。
優勝後に気合いを入れられた感じだった。
新しい家族の誕生にいつでも集中できるように、1月の茂木100kmまで、公式戦はいったん休止。ジャパンカップも今年は休みます。やれるときに練習をがんばって、さらなるパワーアップでBR-1でも周回遅れにならないような走りを身につけたいと思っています。応援ありがとうございました。
さらなる感動を目指して!!
BR-2 優勝!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
BR―2 優勝 自転車に夢をもらいました。ゴール時は感動で涙がでました。この歳になってこんな感動ができて幸せでした。出産前にこのレースに向けて練習させてくれた家族に感謝です。ものすごい辛い坂でした。
伊吹山での失敗
二度と繰り返さないと誓って、自分の実力を発揮したく望んだしらびそ高原ヒルクライム
当日受付が可能だったため、後輩のYくんと共に土曜の仕事が終わった後に飯田に向かう。
とても空いていたためついつい、右車線ばかりを走っていて警察に一点減点されるなどの思わぬアクシデントもあったが、無事到着。
ホテルで朝の5時まで寝て、スタート地点に向かう
天気も良く絶好のレース日和
アップ等で9時のスタートを待つ
100名以上の選手からBR-2優勝を決める。
今回は自分の実力をしっかり発揮して、よいレースが結果を生むという信念からあまり、メンバーは意識しなかった。ただ一人オッチィモのTさん(ツールド沖縄200km3位など 自分がとってもライバル視している人)の動きには反応しようと思っていた。
メンバー表を見なくとも、スタート位置に並んだら、強豪揃いと言うことはすぐ分かった。
ヒルのレースではBR-3時代からおなじみのメンバーたちが揃っていた。
緊張のなかスタート
やっぱりスタート時はみんな元気で飛び出す。
自分も適度な位置で足を温存しつつ、はじめの勾配を登った。
調子がよいのか、特にあげていないが先頭付近にきてしまった。
その時、注目のTさん登場、一気に前にでて逃げようとする。
結構なスピードだから、多くの人は反応できない。
自分は回転数を上げて反応した。何とかくらいついた。
とにかく、この人を逃がしたら今日は展開がなくなってしまう。
自分を含めて10人くらいがついているようだ。
少し、緩い平坦になったとき、さらにTさんはスピードアップ
すごいパワーだ。あんなに前をひいてさらに離そうとしてくる。
15m位あいてしまう。がんばって追えたのは自分も含めて7名くらいだろうか?
とにかく、ある一定の負荷を越えないように、自分のペースを守って、一人前を行くTさんを追う。なかなか落ちてこない。泳がしている余裕なんてない。自分もある程度がんばったペースなのに追いつかない。速いスピードが続くので気づくと自分の周りには一人、そしてまた一人と脱落し、3名~4名になっていた。その時、とても衝撃的な事実に気づく。一瞬前にでた緑色のジャージ、なんと2年前の乗鞍チャンピオンMさんではないか・・・。
出場していたのか!!!この人と勝負するのか・・・。自分にその実力があるとは思わなかったが、とにかくTさんとの距離を開けないようにがんばった。常に前で走った。
気づくと5km地点くらいから10m先のTさん、自分に乗鞍チャンピオン、もう一人(最近よく結果を出している若いHくん)の4人に絞られたのだ。
とっても苦しかったが、とっても刺激的な展開!!
誰かが3位以内の昇格を逃すのだ。
Tさんの後続3名での勝負が始まった。
Hくんと自分で掛け合う。
チャンピオンは自分の後ろから離れない。呼吸の乱れなどから、つらくて前にでられないのかとも思った。しかし、乗鞍チャンピオン残しておいては間違いなく負ける。
ゴール前までに引き離したかったが最後までできない・・・。
Hくんと自分でTさんを追っても、なかなか追いつかない。
そのくらい、Tさんの独走力は強かった。
Hくんは自分とは対照的でダンシングで前にでて、シッティングでペースを保つ方法をとる。前にでられたときにスピードがあるため、おいて行かれないように、なるべく回転をあげて離れない。これがかなり根性がいる。
残り3km位からはさらにペースアップ!!、しかし、Hくんが引かなくなる。切れたか?とおもったほど気配がなくなったが、後ろを見るとちゃんといるではないか。
足がのこってないのか?
このときは理由がわからず、ちぎりたい自分は、とにかく前で引いた。
Tさんに迫るが、残り1kmでTさんがペースアップ、自分も追う!!!
しかし、目の前に勾配15%以上の劇坂が目に入る。残りは700m。
なんとこの劇坂をまっていたかのごとく、後ろの二人が自分の前にでてアタック!!!
こういうことだったのか!!!最後にこんな区間があったとは・・・。
自分も最後の力で踏みまくる。Tさんは目の前にとらえた。400m手前何とか二人の後ろにつく。しかし、足に力は残っていない。二人はさらにダンシングアタック!!!。
悲しいが反応できない。なんとTさんも抜いて二人でタイヤ差でゴール。
優勝は乗鞍チャンピオンMさん
Tさんにもゴールを許し、自分はむちゃくちゃになりながらゴール。
ゴール地点での実況にて自分の名前とチーム名が大きく呼ばれている。
とっても充実したレースだったが、自分が負けた・・・。
乗鞍チャンピオンMさんは調子があがっておらず、勝利のためのレースをした。
さすがアマチュアヒル日本一。ともにレースができたことを誇りに思った。
このメンバーで自分が共に戦えた事は今後の大きな経験になるだろうが、最後の坂、自分はダンシングでもがけなかったのだろうか?今はそう思ってしまうが、あのときは全力だった。とても充実したレースだったので、負けたけど悔いは残っていなかった。自分の力を出せたからだろう。いつもこんな感じでレースできれば、今度は勝利できる!!
そう確信できるレースだった。
自転車に出会えてよかったと思える瞬間がレース中にはあった。
こんな事を味あわせてくれて、出産を控えおなかが大きいのに家で留守番してくれた妻にすごく感謝だ。自分は素質がないので、とにかく考えて、自分に負けないようにたくさん練習しなくてはいけない。妻がそれをさせてくれた事がこの成績(4位)につながった。感謝感謝。
次は富士だけど、考えるだけでも苦しい劇坂が待ちかまえる。
去年みたいに表彰台の一番上にのるためには、1ヶ月間とにかく努力のみ。
妻を最大限サポートしつつ、表彰式にのる。
社会人レーサーの課題だ!!
その課題を成し遂げたい。
結果は43分30秒くらい
しらびそ高原ヒルクライム前の確認にしたかった。
課題が見えてきた。つらいが今からは負荷をあげていかなければいけない。集中して速筋を少々刺激していく。
そうして、自分のペースで負荷があげられるようにしてく。
結果的には去年とタイムは同じくらいだが、あまり踏む刺激を入れていない現在のことを考えると上出来かな?
ほんとは42分台は欲しかったんだが・・・。
修正してしらびそに望んでいきたい。